

嘉之助 DOUBLE DISTILLERYができるまで
嘉之助蒸溜所は、日本本土最南端・鹿児島県の日置市にあり、 日本三大砂丘の一つである吹上浜 の海岸沿いに建ちます。「嘉之助蒸溜所」の母体である焼酎蔵「日置蒸溜蔵」は、1883年の創業以来、鹿児島県日置市で日本独自の蒸留酒である本格焼酎を造り続けてきました。
嘉之助蒸溜所の代表であり、小正醸造4代目でもある小正芳嗣は、140年にわたる焼酎造りの経験と技術を活かし、ジャパニーズウイスキーをさらに進化させたいという思いで挑戦を続けてきました。 そのひとつが、焼酎の製造設備を活用したウイスキー造り。日置蒸溜蔵の蔵人たちと議論を重ねた末、2020年に焼酎用のポットスチルを使ったウイスキーの製造に踏み切ります。 さらに、芳嗣の祖父である小正嘉之助が、日本で初めて焼酎の樽貯蔵に挑戦して生み出した「メローコヅル」。その貯蔵に使われた“焼酎リチャーカスク”をウイスキーの熟成にも活用し、これをキーモルトにした「シングルモルト嘉之助」が誕生。そして2023年1月、嘉之助蒸溜所の初となる定番商品として、ついに世に送り出されました。

芳嗣が本格的にウイスキー製造に取り組むことを決めたあと、 小正醸造を引き継いだのは、5代目・弟の小正倫久(以下倫久)です。 「嘉之助 HIOKI POT STILL」の発売には、日置蒸溜蔵を引き継いだ倫久の協力が不可欠でした。 原料の違い、製法の工夫など、様々な構想を巡らし、日置蒸溜蔵の蒸留技術と2代目・嘉之助の頃から「メローコヅル」で培ってきた樽貯蔵技術を結集して2023年12月に発売されたのが、新しいジャパニーズポットスチル・ウイスキー「嘉之助 HIOKI POT STILL」です。

「シングルモルト嘉之助」と「嘉之助 HIOKI POT STILL」の発売を機に、芳嗣はブレンデッドウイスキーの構想を深めていました。その背景には、嘉之助を祖父に持つ兄弟の絆がありました。 幼い頃から小正醸造を継ぐ決意をしていた兄・芳嗣は、厳格ながら挑戦を続けた祖父に憧れ、蒸留の道を歩みました。一方、弟・倫久は自由に育ちながらも、祖父や家業を支える社員への感謝の気持ちを強め、兄のもとで小正醸造に入社。社長就任後は挑戦できる環境を整えてきました。 こうして、祖父の夢であった「世界に通用する蒸留酒」を叶えるため、兄弟とクラフトマンたちが手がけたブレンデッドウイスキー「嘉之助 DOUBLE DISTILLERY」が2024年4月、ついに完成しました。
