
PRODUCT STORY
みずみずしさ花開く、カスクフィニッシュの醍醐味
<数量限定>嘉之助シングルモルト 2026 LIMITED EDITION
嘉之助シングルモルト 2026 LIMITED EDITION 開発の舞台裏
嘉之助蒸溜所 所長/チーフブレンダー 中村俊一
これまで嘉之助蒸溜所では、ヴィンテージ入りの LIMITED EDITIONを、“その年ならではの味わい”を一つの作品として描き出す数量限定シリーズとして発表してきました。
ブレンダーは酒質イメージから樽の個性、熟成のピーク、ブレンド比率に至るまで細部にこだわり、一本ごとに狙いを定めて組み立てています。
そして2026 年は、シリーズとして初めての2月発売。
一年のはじまりにそっと寄り添う一本として、春先を思わせる軽やかさと華やかさをテーマに酒質を設計しました。大胆なカスクフィニッシュと緻密なブレンドが生み出したのは、“みずみずしさ花開く” 味わい。
それが「嘉之助シングルモルト 2026 LIMITED EDITION」です。

Q1. 与えられたテーマ「華やかなシングルモルト」に対し、どのようにアプローチしましたか?
中村:
春先、蒸溜所脇の小道を歩いていると、ふと「ハマゴウ」の香りを感じることがあります。海に向かう階段を上るにつれて、その新芽の可憐な香りに潮風が混ざり、見渡す限りの砂丘の先には、長い海岸線と東シナ海の水平線が広がっている…。
与えられた今回のテーマに向き合った時、まず頭に浮かんだのは、そんな私たちにとっての「日常の風景」でした。このウイスキーでは、特別な情景というより、ここで原酒と向き合う毎日の中で、身体に自然と残っている感覚です。香りは軽やかに立ち上がり、口に含むと穏やか。余韻は静かに続いていく。一杯のグラスの中で、香りと味わいが移ろいながら、吹上浜を望む丘の上の風景に、心が向かうような構成を目指しました。

Q2. 所長は、なかなかのロマンチストですね。 今回使用した樽の種類と、ヴァッティングの考え方について教えてください。
中村:
バーボン樽由来の厚みをベースに、バニラを思わせる柔らかな甘みを全体の軸に据えました。その一部をアップルブランデー樽で後熟し、果実のふくらみと余韻の表情を与えています。
さらに、KANOSUKEのDNAともいえる焼酎リチャー樽原酒の凝縮感のある果実味や、若い原酒ならではのフレッシュさを引き立てるように、白ワイン樽で後熟した原酒を重ね合わせました。結果として、白ブドウやりんごを思わせる酸やジューシーさが生まれ、全体にアクセントを加えています。
一方で、シェリー系の原酒は複数ありますが、今回はドライフルーツやナッツのニュアンスを補う役割として、割合はあえて控えめにしました。
それぞれの個性が前に出すぎないよう、香味の流れと余韻のまとまりを重視してヴァッティングを進めました。
Q3. キーモルトを「白ワイン樽」、「アップルブランデー樽」それぞれのカスクフィニッシュ樽に決めた理由は?
中村:
焼酎リチャー樽原酒は、白ワイン樽で後熟することで、リッチな味わいにジューシーさを添え、厚みと複雑さに寄与してくれました。アップルブランデー樽原酒は、果実感と余韻の表情を決定づける存在でした。
甘さと爽やかさ、ほのかなビター感が香味を自然につないでくれます。
今回のテーマにもある「みずみずしい甘さ」を、華やかさと軽やかさを最も素直に表現できる原酒だと感じ、この2つをキーモルトに据えました。
Q4. テイスティングで感じてほしいアロマや香味の特徴は?
中村:
まず、オレンジの白い花や柑橘を思わせる軽やかなアロマを感じていただけると思います。 口に含むとバニラやハチミツの柔らかな甘みと果実感が穏やかに広がり、 余韻にはほのかなシトラスとアップルピール、そして潮風のようなニュアンスが静かに続きます。
Q5. 相性の良いフードペアリングは?
中村:
白身魚のカルパッチョなど、素材の味わいを活かしたシンプルな料理とよく合いそうです。軽い塩味のあるコンテチーズや、果実を使った和菓子も相性が良さそうですね。私の中では、柚子風味のこし餡をつつんだ大福のような、控えめな甘さの和菓子にも合うのではないかと感じています。
Q6. おすすめの飲み方・温度帯は?
中村:
まずはストレートで、時間とともに開いていく香りを、急がずに楽しんでいただきたいです。
少量の加水で果実感やフローラルな要素がよりはっきりしてきますので、大きめの氷を浮かべ、ゆっくり溶ける中で味わいの変化を楽しむのもおすすめです。

Q7. どんなシーンで楽しんでほしいですか?
中村:
特別な日だけでなく、日常の中で気持ちが自然と前を向くような時間に、手に取っていただけたらと思います。
夕暮れ時にひとりでグラスを傾けるのも良いですし、天気の良い日に仲間と外で風を感じながら楽しむのもこのウイスキーにはあっていると思います。
香りとともに、嘉之助蒸溜所の海岸線の景色がふっと浮かぶような、少し心が軽くなるひとときに寄り添えたら嬉しいです。
(インタビュー・文:マーケティング部 PR/Communication 丹沢恭子)
プロフィール:
嘉之助蒸溜所 所長/チーフブレンダー 中村俊一
1977年鹿児島生まれ。鹿児島大学大学院水産学研究科修了後、2005年に小正醸造入社。2019年より嘉之助蒸溜所で貯酒管理を担当し、2020年より所長兼チーフブレンダーとして生産管理・ブレンド・商品開発を統括。
